第10章 ❄ 冗談じゃない!
個性把握テスト。
なるほど、と雪は納得する。
「入学式は!?ガイダンスは!?」
「ヒーローになるならそんな悠長な行事出る時間ないよ」
納得のいかない麗日の言葉をあっさりと否定する相澤は続ける。
「雄英は''自由''な校風が売り文句。そしてそれは''先生側''もまた然り。ソフトボール投げ 立ち幅跳び 50m走 持久走 握力 反復横跳び 上体起こし 長座体前屈 中学の頃からやってるだろ?''個性''禁止の体力テスト。」
淡々と、合理的に言葉を放つ教師に生徒達は黙って聞く他ない。
「国は未だ画一的な記録を取って平均を作り続けてる。合理的じゃない。まぁ文部科学省の怠慢だよ。」
教師がそういうこと言っていいのか、と思う雪に近くにいた金髪がどゆこと?と首を傾げ問う。
それに気付いた雪は片手を口の横に添え、
『個性万歳ってこと。』
と小声で耳打ちする。
「!?………え?」
女子からの耳打ちという不意打ちに胸を打たれた金髪はその衝撃のあまり(もしくは普通に意味が解らず)余計に理解することから遠ざかるのだった。
後ろの方でそんなやり取りがされていることに気付くものはおらず、話は進む。
「爆豪、中学の時ソフトボール投げ何mだった。」
一般入試を主席で合格した少年に尋ねる相澤。
「67m」
(((すげー…)))
「じゃあ''個性''を使ってやってみろ。円から出なきゃ何してもいい。早よ。」
爆豪が円の中へと足を踏み入れる。
見守る生徒達。
「思いっきりな。」
そう言われ、ボールを渡された爆豪は
「んじゃまぁ、」
大きく振りかぶり…
「死ねえ!!!」
((……………死ね?))