第9章 ❄ 再会や初めまして
新しい制服を見に纏い、
新しい学び舎へと向かう。
新しい1歩を踏み出す ''個性豊かな''少年少女達。
春うららと呼ぶに相応しい 暖かな日差しの差すこの日、出会いの日。始まりの日。
1年A組の教室、1番最初に到着したのは このクラスで最も この校舎に近い場所に住み始めた少女。
早すぎたかな、と思いつつも ちょっとした特別感を味わう。これから3年間を共に過ごす仲間達の入場を一人一人見ることができるのだ。
指定された席は窓際から2列目の前から3番目だ。
机の数は全部で21。
毎年300を超える倍率の雄英高校ヒーロー科一般入試で選ばれる合格者の数は大体35~40名らしい。(〇iki〇ediaに載ってた)
るんるんと音がなりそうな軽い足取りで席へと向かい、腰掛けてみると ますます、高校生になったのだという実感が湧いてくる。
『早く来ないかな…』
そう呟き、扉を眺めるのだった。
席について10分程が経過したが、まだ誰も入ってきていない。
隣のB組からも物音が聞こえない。
(やっぱり早すぎか。)
楽しみ過ぎて仕方がなかったのだ。
窓から差し込む柔らかい春光。
登校終了時刻まであと30分程ある。
昨夜眠れなかった割に早起きをしてしまった少女は、ゆっくりと 船を漕ぎ始めた。