第1章 ❄️️ヒーローになりたい
『ただいま!寒~』
手袋を外して コートのポケットに突っ込み。
ブーツを脱ぎ、そのまま片手で持って 居間へ向かう。
「おかえり、零。」
「バウッ」
『お母さん、ホットミルク~~!シロただいま!』
母親と愛犬にそれぞれ返事をし、
ストーブの前に 空いている方の手で新聞紙を敷く。
その上にブーツを置き、カバンを置き、(外で払いきれなかった雪が室内に入ると溶けてびしゃびしゃになるのだ)
かじかんだ手をストーブへ向け 温めた。
「今日、なまら寒かったしょ。はい、ミルク。」
『ありがとう、お母さん。はあぁ、あったか~い!』
「なんもなんも。お疲れ様。」
温かいミルクと母の笑顔、隣にはシロ。
いつもと同じ。
でも、明日は。
『お母さん、雪掻きするよ。』
飲み終わったミルクが入っていたマグカップをすすぎながら、夕食の支度をする母に話しかける。
「いいのいいの!後でお父さんにやってもらうから。それより入試の支度、早めにしておきなさい。今日は早く寝た方がいいっしょ。」
『…うん。そうだね。支度してくる。』
「うん。夜ご飯もちょっと早めにするからね。」
「はーい!」
明日、関東へ。