第18章 ❄️️ 名前
精神的にも大きな負担を負ったであろう、無理に思い出させる必要は無いか、と塚内は話を切りあげることにする。
「邪魔をしたね。協力、感謝するよ。」
そう言って立ち上がり、右手を差し出した。
『いえ、なんにも役に立てなくて申し訳ないです。』
少女は差し出された右手に応じ、軽く握手をする…
(…?)
「そんなことはないさ。明日から授業は再開されるそうだけど、無理はしないようにね。応援しているよ、未来のヒーロー。」
優しい笑顔で軽くウインクをすると、塚内は手を離した。
『ありがとうございます。』
『……………ううん、きっと気のせいだ。』
初めて会った人とする握手は初めてに決まっている。
第一、
関東に来たのは受験の時が初めてなのだから。
会ったこと、あるはずない。
あるはず…ない。