第17章 ❄ フラッシュバック
『はいっ!』
「クソがっ!!」
「オラッ!!」
『あー!』
「2人とも譲らねーな」
「は、反射神経えぐい…」
4月も終わりに差しかかる水曜日の正午過ぎ。
2つの机を向かい合わせにくっつけ それぞれの席につき、並べられた札を睨みつけている2人。そのまわりに円を描いてがやがやと盛りあがるクラスメイト達。
「零ちゃんは個性で位置は覚えられるとしても反応速度がすごいわ。」
「梅雨ちゃんの舌とどっちが早いんかな!デク君はどっちだと思う!?」
「う、麗日さん、今はかっちゃんと雪さんのどっちが勝つかを予想するタイミングなんじゃ…」
「爆豪は個性無しであれかよ…才能マンこえーわ。」
「瀬呂のテープも負けてないって!シュバーッて出すじゃん?」
「芦戸さん、瀬呂さんが仰っているのは手の速さじゃなくて記憶力と反射神経のお話ですわ。」
「オイラだったらもぎもぎで相手の手と机をくっつけちまうぜ。」
「峰田、そりゃ反則だろ。漢らしくねーぞ。」
「しっかし中学でちょっとやったけどさ、百人一首。急にやろーぜってなってこんなレベル高ぇことできなくね普通。」
「雷には無理そうだね。」
「耳郎くんは毒舌だなっ!俺は100首全部丸暗記している!!」
「ってめぇらうるせぇぞ!!聞こえねぇだろうが!!」
『残り10枚だね、空札入れてもらう?』
「クソが、俺がそんなんに引っかかるわけねぇだろ。てめぇが引っかかろうが引っかからまいが勝つのは俺だ。」
『じゃあ無しで続けようか!』
❄❄❄