第14章 ❄️ 知りたい
彼女が着ていたのは部屋着のような少し大きめのながそでTシャツにジーンズのズボン。
制服の時には隠れている、白い肌。鎖骨。
車に乗り込み、エンジンをかけると相澤はハンドルにもたれかかる。
「俺は教師…ヒーローだぞ………」
同じ頃、少し校舎から離れた場所で。
少女はしゃがみ込み、両手で口元を覆っている。
「…………っ」
暗闇の中、耳元で聞こえた低い声。怒られていたのは分かっている。しかし、なぜだかゾクリとしたのだ。恐怖ではない。
「~~~っ!」
ぎゅっと目を瞑り、頬を染めるが誰もいない暗い夜の中、その頬は誰にも知られず夜風に冷やされてゆく。
❄❄❄
………………誰かが怒っている。
女の子だろうか。
黒い虚無と白い雪。
誰かと同じように怒っている。
ああ、ばくごうか。
しかし今、目の前で怒っているのは誰だ。
声は聞こえるが何を言っているかは分からない。髪に隠れて顔も分からない。
今回は少し風があるようだ。
風になびき視界に入る自分の髪は、雪の色。
目の前にいる幼い少女。彼女の髪も、雪の色。
目線の高さも同じ。
(この子は誰?知ってる気がする…誰だっけ…………………)
次の朝、起き上がった雪はそのまま動かずに。
(覚えている…………)
いつもは思い出せない悪夢。あの場所。
思い出せる。思い出した。今までのも。
『あの子は、誰だっけ………………』