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徒花まみれの心臓 ~ifストーリー~

第7章 息をしたまま死ね




「煙草の味、したかな」


やけに熱っぽい声色で、彼が言う。


「………貴方が吸ってるん、私、嫌いな銘柄やわ」


上擦りそうになる声がバレないように言って、屋上を出た。













放課後。なんとか1日の授業をこなし終礼を終えて生徒を帰すと、ガランとした教室の中、崩れ落ちるように椅子に座った。熱い。乱菊から貰った冷えピタを取り出し額に貼り付けると、その冷たさに少し安堵する。今日が定時退校日で良かった。週に一度のこの日だけは、部活動も無く、教師も極力早く帰らねばならない。この後は17時から2学年の教師で会議があった筈だ。修学旅行についての話だったような気がする。砕蜂先生に頼んで、代わりに出てもらおうか。立ち上がる気力が湧かず、教壇に上半身を伏せる。その姿勢のままパラリと手元の日誌を捲ると、日直のコメント欄に、私と藍染先生の関係を問う内容が書いてあった。誰だ今日の日直。確か阿散井クンだったか。明日の授業で難しいところを当てて揖斐ってやると決意し、日誌を閉じた。そのまましばらくぼうっとしていると、校内放送が流れた。---"市丸先生、至急会議室に来てください"---まさかの私を呼ぶものだった。


「…あら、大遅刻やん」


腕時計を見ると、針は17時半を指していた。30分の遅刻。これは学年主任の平子先生に怒られそうだ。これ以上遅れたら、生徒指導の朽木先生に煙草を没収されかねない。だるい身体に力を入れ、立ち上がる。教室を出ようとしたその時、目の前に藍染先生が現れ、咄嗟にブレーキをかけた。上手く踏ん張れず傾いた身体を、彼が抱きとめる。昼間と同じ、煙草と香水の匂いがした。


「探したよ。まさか教室に残ったままとは」


大きく溜め息を吐いた彼は、心なしか息を切らしている。まさかとは思うが、ずっと探していてくれたのだろうか。


「明らかに悪化しているね。今日はもう帰った方が良い」


「…会議が、…せや、藍染先生、なんでこないな所おるんです?、会議、」


「君を探していたんだよ。会議には副担の東仙先生が出てくれている。…行こう」


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