第19章 転生眼
マリサイド 続き
そして血をかわす日_____
月にいるから満月なのかはよくわからないけど、トネリが言うならそうなのだろう。
いつもよりも自分たちのいる場所が明るい気がした。
あれから1人で脱出しようとしたりしたけど、歩き回っても部屋からでれば数名の人形の監視が私を見張っていて、きっと何をするにもどこにいくにも部屋を出ればトネリに筒抜けなのだろうとあきらめるしかなかった。
そして私はまたトネリに手を引かれ、あの時行けなかった部屋へと案内をされている。
問題の血をかわす日に行く部屋。
ここまでくると希望が薄くなってくる。
あれだけ自分をなんとか持ち上げどうにかしようとしてきたことすら、あっけなく無駄だったのかとも思えてきはじめた。
「さ、入ろうか」
そう言われて入った一室には
一瞬まぶしくて目がくらみそうになる。
「なに…この光…」
「ここはね、僕の転生眼の源となる力が蓄えてあるんだよ」
「転生眼の源となる…ちから?」
「そう。白眼て知ってるでしょ?あれは日向一族がもつ血継限界で代々伝わる瞳術。日向はいわば俺達、そして俺達の先祖でもある大筒木ハゴロモの弟のハムラの末柄なのさ。
転生眼開眼には、この白眼の力も必要でね。
僕ら一族は代々その白眼の力を蓄えるために生まれると眼球をとりのぞきこうしてエネルギーとして蓄えてきた。
次の転生眼開眼のものへと託すために。
最初の転生眼開眼者は大筒木ハムラ。
次の転生眼開眼は僕なんだよ」
「‥‥」
「この力を僕自身に取り込んでから、君と血をかわせば僕の両目に転生眼が開眼するってわけ」
「‥‥私にどうしろっていうの‥‥」
「簡単だよ。するのは僕とキスすればいいだけだから」
「!?‥‥それ…だけ…?」
あまりにあっけなくてそう言葉がでてしまった。
「ふふっ…なに?マリはどこまで想像してたの?」
「いや…そういう意味じゃなくて…」
そういうとトネリはグッと近寄って
「まぁ…それだけで終わるつもりはないけどね。だって僕たちは結婚するんだし、家族だってほしいからさ」
薄く笑っているのに冷たくそう耳元で言われて
背筋が凍り付いた____