第19章 転生眼
マリサイド
私はトネリが言った言葉を一つ一つ思い出していた。
彼は言っていた。
『奇なる世界から飛びし者・血を交わせば・無き場所に転生眼生まれ・光の道与えし』
奇なる世界から飛びし物とはおそらくこの世界の者ではないもの。
まさに私に当てはまる。
無き場所っていうのは、トネリの今は失われている両目の場所だろう。
光の道を与えるっていうなら、転生眼は悪いものではないのかもしれない。
ただ…
血を交わすとはいったいどういうことなんだろう…
ちを…かわす?………ちがまじわる……
変に心臓の鼓動がはやまる。
こんな時に限って…悪い想像しか思いつかない。
「マリ」
「ひっ!」
少し後ろにトネリが立っていた。
「ほんとに、お願いだから気配なく後ろに立つのやめて」
動揺を隠すようににらみつけた。
「ごめんごめん。せっかく新しい家に来たんだ。案内するよ。それに君は言い伝えにも興味があるみたいだしね。その石碑の場所にも案内する」
そういって繋ぎたくもない手を繋がされ、引っ張られた。
この新しい家という場所には、ほんとうに誰もいなかった。動いているのは人形で、彼はこんなところで1人暮らしていたのかと思うと、そこには同情した。
「さ、ここが君の興味のある場所」
そういって案内されたのは家の中心部にある場所で、中庭のようになっている場所に文字の刻まれた石碑が立っていた。
その石碑は古びてかけたりもしていたけど、間違いなく読むことができた。
「この…血をかわすって意味…いったい…」
「それは、あと3日後の満月でわかるよ。楽しみにしてたらいい」
それ以上彼は何を聞いても言わなかった。
楽しみになんてできるわけがない。
その後屋敷の中を歩き回って
一部屋だけ行けない場所があった。
そこはその3日後に使う大切な部屋だと言われた。