第18章 別々の場所で
かかしサイド
火影室からの帰り、なんとなく少し歩いてみたくてもう皆が寝静まっている夜中俺はこうして1人歩いている。
月が、異常なまでに近い。
それに影響して里は異様な雰囲気とともに光照らされていた。
マリがトネリのもとにいってしまって数日。
確かに月はいったん近づくのをやめ、とまっているようだ。
通り過ぎた場所から、キィっと音がなる。
いい歳してブランコに乗っていた彼女を思い出した。
そこには誰もいなくて、ただ夜風だけが静かに流れていた。
公園を横目で流し、そのまま歩く。
この道を帰るとき俺はいつも少年のように心弾ませ家に帰っていた。
それがほんの数日前まであったこと…
たどり着いた俺の家には、誰の気配もなく、あぁまるで昔の1人になってしまったあの時のようだと感じた。
当たり前に合ったものが奪われるというこの感覚。
久しぶりに味わった。
いや、完全になくしたわけじゃない。
でも俺の心の大きな支えとなっていたものを目の前で奪われた。
それでも火影として凛として先頭に立ち、自分の感情は後回しにこの危機迫る状況を取りまとめてきた。
本当なら俺自身が助けにいきたい。
ただ火影不在になるわけにはいかず、部下に託すほかなかった。
ガチャっと静かにドアがあく。
この家の前では俺は火影と言う立場を脱ぎ捨て、ドアをあけて迎え入れられるときには1人の男として彼女の前に立っていたのに。