第16章 心のないプロポーズ
かかしサイド
マリからすべての話を聞いたとき
もはや俺の頭の中に冷静という言葉は皆無だった____
ふざけるな…
人の気持ちを無視して、言い伝えと転生眼開眼のために大切な人を奪われる身にもなれ。
だがその大切な人と
この世界の運命が天秤にかけられている。
そしてまた、それが大筒木‥‥
かりに5影会談で相談をしても、この星の運命となるならば彼女を差し出すことを優先されるのは目に見えている。
それでも…
俺はあきらめたくない________
「マリ、俺がなんとかするから絶対に行かないで」
「でも…私が行かなきゃ何されるか…」
「大丈夫だから心配しないで。とにかくこのことは5影たちにも話さなければならない。もちろん対策も考える。でもこれだけは約束して?絶対にトネリにはついていかないって」
マリは少し間をおいて、頷いてくれた。
みすみす彼女を渡すわけにはいかない。
仮に彼女がついていったところで、トネリが何もしない保証もないじゃないか。
俺が火影である以上、何とかしてみせる______
俺は彼女の涙を拭いてそう誓った。