第16章 心のないプロポーズ
マリサイド 続き
「あたしのこと……脅してるの…?」
「脅す?まさか。僕はこうして真面目に君にプロポーズしてるんだよ。けど、あんまり僕の事を見くびるのはよくないね。その答え次第ではここに隕石を落とすことすら僕にはたやすい」
「!!」
こいつやばい…
恐怖が完全ににじみ出てしまったその顔を、まるで見えているかのようにまた彼は話し出した。
「やだな、そんな怖がらないでよ。そうだね、あせってもしかたない。マリにもきっと少し考える時間がいるんだよね?
1週間後、また来る。いい返事がもらえること期待してるから」
そういってトネリは消えていった。
それを見送ったと同時に
体に力が入らなくなってしゃがみこんだ。
「どうしよ‥‥あんな話…信じらんない…」
とにかく、かかしに話そう…
混乱する頭をかかえフラフラと家に歩き出す。
私が行かないと世界が壊される?
いや、この星自体がだ…
かかし
かかし!
そう思って勢いよく玄関のドアを開けると
ボスッと何かにつかまった。
「おかえり、マリ」
からみつく恐怖から守られた気がして
必死でしがみついた。
「ん?どしたの?」
せっかく帰ってきたから
せめて…話をするまでは笑顔でいたい。
「ただいまかかし!はやかったね!まさか先に帰ってるとは思わなかったよ~」
「はりきって仕事早めに終わらせてきたから、ごはんも作っといたよ。食べよ」
「うん!」
ご飯食べる時間くらい楽しく過ごしたい…
そう思って私はいったん胸の内の話を心の中にとどめた。