第16章 心のないプロポーズ
マリサイド 続き
なんか…恐いこの人…
そう思ったらもう目の前にトネリが立っていて
また薄く嘘くさい笑顔で笑っていた。
「!!」
「マリ、逃げても無駄だよ。君は僕と一緒に来るしかない。君にはその選択肢しかないんだよ」
「そんなこと…ない。結婚相手くらい自分で選べる…」
「うーん、君がぼくといっしょに来ないっていうなら、僕はこの木の葉をつぶさなきゃならないね。木の葉だけじゃない。みーんな。この世界、いや、この星すべて」
「!?‥‥どういうこと…?」
トネリは何一つ表情を変えず話し出した。
「マリ、僕はね月の住人。名は大筒木トネリ。
大筒木カグヤの息子である大筒木ハゴロモの弟ハムラの末柄にあたるもの。僕ら一族は代々月からこの世界をずっと見ていたんだよ」
「おおつつき‥‥」
嫌な冷汗が額から流れた。
「そう、君と同じ大筒木。あ、でも安心して。同じ大筒木でも君はもともとこの世界の住人じゃないしそれに俺達が結婚することはもう宿命だから」
私とは対照的にご機嫌で話す彼は、そのまま話をつづけた。
「僕ら一族はね、ずっと言い伝えどおりこの世界を月から見守っていた。でもね、カグヤが封印されてから1000年の時がすでに流れ、地上の人々がチャクラを兵器として利用し続けている様を見たんだ。俺はハゴロモが築いた忍び世界は失敗であったと判断したのさ」
「失敗…」
「でも君を見つけた。別の世界に住んでいた大筒木一族の末柄。面白いことにもう一つ僕の一族には言い伝えがあってね、『奇なる世界から飛びし者・血を交わせば・無き場所に転生眼生まれ・光の道与えし』。僕には心の眼がある。でも次の段階である転生眼が必要なんだ。だから君は僕と一緒に月で幸せになるんだよ。こんな醜い地上じゃない。もし君が来るなら木の葉も、この世界も、この星も残してあげてもいいから」