第15章 マリと見知らぬ子
マリサイド 続き
それからトネリは火影室からの帰り道に、頻繁によく私の前に姿を現すようになった。
「わ!なんだトネリか…びっくりした…」
「ふふ。マリは全然僕に気づかないんだもんね」
「だって、いきなり来て、気が付いたらいなくなってるから私いつも気が付かないで話してるときあるよ」
そういってお互いに笑い合う。
「あのさ!」
そう言い放つと
トネリは眺めていた夜空から顔をこっちに向けた。
「ずっと聞きたかったんだけどトネリは…両目見えないの?」
これまで数回会ったけど、聞くタイミングを毎回逃してしまって今日こそはと最初の話題としてふった。
「そうだね、見えないといえば見えないし、見えるといえば見えるよ」
「んん??」
「僕の一族にはしきたりがあってね、生まれると同時に眼球を抜かれるんだ」
「!!!」
あまりに壮絶すぎるしきたりに腰がぬけそうになった…
「ふふ、そりゃ驚くよね。でも大丈夫。僕たちは心にチャクラを集中する訓練をして心の眼を開くんだ。だから周囲の状況も、マリがどんな反応をしているのかも全部わかるよ」
「あ…そうなんだ…なんかすごいね。心の眼って聞いたら、なんかどこまでも見透かされそうだよ、ふふ」
「そうだね、マリのことはいつも心の眼で見て感じてるから。いつも、ずっと…」
なんか…
その言葉に異様な雰囲気を感じて
どう反応していいかわからなくなった。
「それに、もうすぐこの眼でマリの事ちゃんと見れるようになるから」
「え…??」
この眼でって…
トネリが指さしたのは胸にある心の眼ではなくて
自分の両目を指さしていた。
更に困惑する無言の私の雰囲気を察してか
「今日のお話はもうこれでおしまい。マリ、またね」
そういって消えてしまった。
「トネリって…ますます意味がわからない…」
かかしに相談しようかな…
そう思ったけど最近通信で5影会談を頻繁に行っていてなかなか差し入れもできない状況でもあった。
ちょっと火影室あたりも慌ただしいっていう印象がこの数週間は感じていた。
もう少し落ち着くまで待ってみよう…
そう結論を出し私も家へとむかった。