第15章 マリと見知らぬ子
マリサイド 続き
「楽しそうだね」
思わずギクリとしてブランコに揺られながらも隣を見る。
あれ…誰もいなかったし
誰も近づいてくる気配すらなかったのに…
そんな不思議な感覚を覚えた。
隣でブランコに揺られる私をずっと見てるから、なんか気まずくなって思わず止まってその声の主を見た。
「こんばんは」
そうご丁寧にあいさつされた。
「あ、こんばんは。誰も見てないと思ってたんだけど…あ…」
そういってから気づいた。
この子、両目閉じてる…
その子は両目を閉じたままにっこり笑ってくれた。
目…見えないのかな…
ちょっと気まずいことを言ってしまったかもしれない
と焦りがつのる。
それにしても男…の子だよね
色白で綺麗な子だな…
ちょっと見とれていると綺麗な白い髪の毛がさらりと揺れた。
「うん、ずっと見てたからね」
と笑ってまた言われた。
「…?ずっと?」
どういうことだ?
と思って頭にハテナを浮かべていると
「僕はトネリ。よろしくね」
そういって彼はまた笑った。
「あ、マリだよ。こちらこそよろしくね」
とりあえず挨拶はしたけど、ずっと見てたってなんだろ?目、開けてくれないし、この状況で見てたって?
それに聞き覚えのない名前だな…
まさかこの期に及んで、まだかかしの部下たちを覚えきれてないのか?
とまた焦る。
思い出そうにも心当たりがない。
「あのさっ」
どこかで会った?
ずっと見てたってどういうこと?
とか、もう思い切って聞いたほうが早いと思って聞こうと思ったのに、その子のほうを見たらもうそこには誰もいなかった。
「忍び…かな。てか忍びの人達っていきなり現れていきなり消えるから、ほんとずるいよ…」
また大きな独り言が舞い上がった。