第14章 マリとかかし。嫉妬。
マリサイド 続き
圧倒されて後ずさりした背中がトンっと壁にぶつかる。
鼻と鼻がぶつかりそうなほどの距離にまで近寄られて見つめられると、この家からはとっくに消えていたかかしの存在と匂いにいっきに包まれて、我慢していた心の寂しさが少しずつ満たされる感覚に陥った。
「俺はずっとマリのこと考えてたのにね」
そう低くて甘い声で言われると、自分の中で必死に我慢していた満たされないもう一つの欲にこれ以上蓋ができなくなってくる。
見つめるかかしが熱をおびたようにあまりにきれいだから、こっちまで恥ずかしくて自分でもきっと顔も耳も赤くなってるんだろう。
「俺のこと、考えてくれてた?」
そう言われて、静かに頷いた。
「どんな風に考えてくれてたの?」
そうやってかかしは
ゆっくりと確実に私の本心をあばいていく。
「かかしは…火影だから…大変だから…わがまま言えないと思って…」
「うん…」
「今、できること…一生懸命やろうって…」
「うん…」
「でもやっぱり…会いたくなって…」
「うん…」
「すごく…寂しくて…」
「…」
「けど、こんなので根をあげたら…またサスケくんに…お前は甘いって言われる気がしたから…我慢して…」
なんでかわからないけど
ここまで伝えるのに涙がたまっていた。