第14章 マリとかかし。嫉妬。
マリサイド 続き
今日の作業を終えて家に戻る。
「マリ、俺ちょっと用事あるから今日は帰るよ。
もう俺が帰る事伝えてあるから、誰かがこなくても見張りはついてるだろうから心配するな」
「わかった、ありがとう!ウルシまたねっ」
そういうとウルシはポンっと消えた。
シーンと静まり返ってしまったその場を後にして、家の中に入る。
この静かな家にも慣れたといえば慣れたけど、かかしのいないこの家は私には広すぎる。
寂しくないと言ってしまえばそれはまったく嘘になるけど、それでも根性もってできているのは、これもやっぱりサスケくんに気づかされたおかげなんだと、長旅にでた彼を思い出した。
「サスケくん、元気かな~…はやく帰ってきたらいいのに」
不意に思い出したサスケ君に対しての何気ない一言だった。
「随分サスケの事気に掛けるじゃない」
「!!」
びっくりして振り返ると羽織を着たかかしが立っていた。
「かかし!?うそ!お帰り!3週間…ううん、1か月ぶり?」
驚いて喜ぶ私をよそにかかしは、スタスタと部屋に進んでいって羽織やベストを脱いで楽な格好へとなった。
「俺には早く帰ってきてほしいって思ってくれなかったの?」
「へ?…なんで…そんなこと思うの?」
「俺と1か月も会えなかったっていうのに、口にしてたのはサスケでしょ?」
そういったかかしの眼は冷たかった。
「ご、ごめん、そんなつもりで言ったんじゃ…」
「じゃ、どういうつもりよ。マリは俺と離れたままでも平気だったってこと?」
「ちがう、そんなこと思ってない。私だって」
そこまで言いかけて言葉に詰まった。
かかしがきゅうにこっちに向かってきて
そのちょっと圧力のある気配に圧倒されてしまったからだ。
どうしよう…怒ってる…
せっかく久しぶりに会えたのに…