第2章 ビビりの迷子としゃべる犬、そして狐の面の男
「あの…急いでないなら一緒に歩きませんか?
今日月がきれいだし、それに、なんかこの道に呼ばれている気がしたから歩いてみたくて」
狐の面の人は、顔が見えないからいまいちどう考えているかもわからないけど、
「…まぁ急いではないけど、ほんとに歩くの?」
そういったから、私も笑って
「はいっ」
と答えた。
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2人と一匹と、ゆっくり月明かりのしたを歩く。
すごいな…
なんでかわかんないけど、さっきよりもとてつもなく大きな安心感が隣にある
走って逃げてきた道をまたさかのぼり、歩んでいく。
「でもなんでこの道なんだろうな…」
そう思わずこぼすと
「この道は火の神様のまつられた場所に続いていく道。
マリは、そこに行きたかったんじゃないの?
それにそれを越えて行けば、俺たちの住む火の国木の葉隠れの里がある」
火の神様…
あ、私の家の後ろの山にも、火の神様がまつられた古びた神社があったっけ。
夏になるとそこで大きな火をたいて人々が集い祝うのだ。
その奥にあるのが、火の国、木の葉が暮れの里?
そんなもの…なかった…
現実のような、そうでないよくわからない感覚におちいった。
悶々と考えているとお面越しから視線を感じる。
「とりあえず、そこの火の神様のところに言ってもいいですか?」
その人は軽くため息をつくと、
「ま、帰り道だし、いっか。いいよ」
そう言ってくれた。
月明かりに照らされて、最初は怖かったその狐のお面が、なんだか妖艶にみえてほんの少し見とれた。