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ここで君ともう一度

第2章 ビビりの迷子としゃべる犬、そして狐の面の男


___________

ここまでくればあいつと離れただろう…

肩で息をしている呼吸をなんとか落ち着かせる。
が、顔をあげて私は絶句することになる___
すでに目の前には狐の面をした奴が立っているからだ。


もう、もうここまで来たらこっちも従うしかない。
逃げられない‥

「もぅ…好きなようにしてください」

相手がお化けか妖怪ならあきらめは肝心だ。
あきらめた。



「お前、なに言ってんだ?」



聞き覚えのある声に、目を向ける

「ウルシ!?」




「ウルシ、この人がさっき言ってた人?」

その狐の面の人がウルシに問いかける。

「そぉ。俺さぼってたわけじゃないよ?ほんとにこいつといたんだよ。なんかどっから来たか知らないけど。マリっていうんだ」


ウルシ~ご主人様に私のこと伝えに行ってくれてたん?
このご主人の面の趣味もどうかと思うけど、ウルシ、めっちゃ優しいやん…

おどおどしながらも、ウルシのしてくれたことに感謝しながら訪ねる。

「あの、ウルシの飼い主さん…ですか?」

「あー、ま、そうなるね。マリ…だっけ?」

「は、はい」

「ウルシが言いに来たんだよ。なんか迷子みたいな女がいるって」

「私…ですね、まさしくその女っていうのは‥」

「とりあえず、ここはあんまり場所的に微妙だから、ちょっと移動するよ」

「あ、はい!こっちですかね?」

そういって、私は指さされた方角へ歩き出す。

「え?歩いていくつもり?」

「え?走りますか?」

「いや、飛ぶ」

「飛ぶ!?その選択肢は私にはなかったですけど」

へへっとかみ合わない会話に苦笑いしてごまかす。

飛ぶって、飛ぶ?飛べないよ私。人間だし。


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