第10章 約束の日
かかしサイド 続き
「はたけかかしよ…」
「ハゴロモさま…彼女は、いったい…」
「わしにもはっきりとはわからぬ。同じ世界のものというのならばまだしも、マリは別の世界のもの。だが、こっちの世界に来たためになんらかの眠っていた力が働いて、神樹からも逃れられ、無限月読にもかからなかったのかもしれぬ」
「‥‥」
そんなこと…考えもしなかった。
マリが、大筒木一族の末柄…
こっちの世界に偶然来れたことにも、やっぱり何か関係あるのか?
そもそも最後の敵が大筒木かぐや、大筒木一族が絡んでいることすらわからなかったのだから、誰も予想なんかつけない。
「だが、一番彼女を良く知っているのはここの誰でもない、おぬしであろう?」
「!」
ハッとした。
そうだ、この世界では俺は彼女のことを一番近くで見ていた。
彼女は大筒木カグヤとは違う。
たとえ先祖をさかのぼってそれが大筒木カグヤまでたどり着くとしても、ハゴロモ様やその息子のアシュラ様のように平和と愛に生きた人たちもいるのだから。
「1番信用すべき立場でありながら、動揺して見失っていました。ハゴロモ様、ありがとうございます」
「うむ。しかしサスケは少し戦争の後で何かと気がたっておるな。あとのことはおぬしらに任せるとしよう」
「はい」
俺はサクラの様子を確認して、自分自身も回復に努めた。