第10章 約束の日
マリサイド 続き
「何これ…」
怖すぎる…
大概こういうのにはゾンビとか入ってたりするわけで…
でもなんか様子もおかしいし
実際開けてみないことにも中身はわからないし…
仮にこれがゾンビやお化けだったら
こんな大量にある時点で私即死だし…
だったら…
そう思ったら敵か味方かもわからない
その繭のようなミイラの物を届く範囲の場所から
体重を思いっきりかけて引っ張って引きちぎった。
訳も分からず、それをビリビリとはがしていく。
「手…?これって…」
中からでてきたのは、かかしと同じ服を着た人だった。
「嘘…これ全部人が入ってるの…?息…してるよ…だったら助けなきゃ…」
とりあえず手あたり次第に届く範囲のミイラを引っ張り1人ずつその木からはなしていく。
みんな同じだった。
まるで眠っているようなままで、誰も起きてくれない。
でも格好はみんな似ていたから、きっとかかしに通じる人達だろう。
ここまで考えて、ハッとした。
「もしかして…戦争…終わってない…?」
かかし、どこいるんだろ…
走り出そうとして、でもやっぱりグッと立ち止まった。
この木々で地形は変わってしまっていても、火の神様があった場所の近くだろうから、この約束の場所から動くとかかしとすれ違うかもしれない…
そう思って、ひたすらそこで人々を木々から降ろす作業を1人もくもくと行った。