第9章 約束と縛り
かかしサイド
俺の提案とマリの意見もあわせて、戦争の間マリは木の葉にいるべきではないと判断し自分の世界で過ごしてもらうことになった。
彼女が自分の世界に帰れば、ここに必ず来れる保証ははっきりとはない。
それでも忍び世界をかけて大きな戦争となるこの時に、最前線にいる俺に彼女は守れない。
もっとも安全となるのは彼女の世界に戻ってもらうことが1番だった。
マリは自分がここにいても足手まといになると思っていたし、戦場や何が起こるかもわからない場所で1人耐えられる保証もなかったから俺に同意した。
そしてお別れの時_______
俺はあてもなく1年後の約束を彼女にした。
俺自身も想像がつかない1年後…
それでもその約束を胸に俺達は別の道をしばらく歩む。
1年後の約束と、俺を待っててだなんて…
俺にとっては都合がいい約束だ。
少なくとも俺はこうして彼女を縛る…
本当なら俺を忘れて、自分の世界で幸せになってというほうが男らしくも本当の意味での彼女の幸せなのかもしれない。
でも俺はあえて彼女を約束という形で縛った。
自分が生きてもう一度マリと再会するために。
背中を向けたにも関わらず
階段を上ることができないマリに
俺の心も引き裂かれそうなくらい辛くなった。
それでも…
それでも信じて前を見なければ
その1年後俺たちが望む結果はこないかもしれない。
「マリ、俺達ちゃんと繋がってるよ。
またここで会えるから」
自分にも言い聞かせた言葉だった____
俺にも、彼女にも刻まれた深い深いつながり。
俺達はきっと大丈夫だ。
そう俺の願いも込めて言うと、マリは泣きながらも振り向き、笑ってうなずいてくれた。
振り向かず階段を上る彼女の背中に、覚悟を感じた。
俺たちは必ず再会できる。
そして、静かにマリの姿は暗闇にのまれて見えなくなった。