• テキストサイズ

ここで君ともう一度

第8章 深いつながり


かかしサイド 続き


そばに寄り強く抱きしめると
マリも同じように俺を引き寄せる。
変えられない現実に2人耐えるしかない____


しばらくそうしているとマリは涙をふいて静かに言った。



「だったら私…かかしと、もっと深く…繋がりたい…」



それがどういう意味なのか俺にもわかったけど
今俺とのつながりが深くなればなるほど、もっと辛くなるんじゃないかと思って一瞬返答にとまどってしまった。



「ごめん…こんな時に、不謹慎…だったかな…」



何も答えない俺に、申し訳なさそうにマリはいう。



「これ以上繋がりが深くなれば、もっとマリが苦しくなるかもしれないけど…いいの?」



正直いって俺はもちろん彼女と同じ気持ちだ。
むしろそうなれたらと思っていたけど
この状況で住む世界も別で
何も俺達2人について保証なんてない中
それが本当にいいのかと遠慮がちになっている自分がいるのは間違いない。


それに…
マリと深い関係になる前の今こそが
離れるチャンスでもある______



お互いにこれ以上関わらず
忘れてそれぞれの道を、それぞれの世界で生きていく。
これ以上何かあっても傷つかずにすむ。


まさに俺達は、2つの選択肢の前に立たされているのだ。



「それでも、自分の中にかかしが深くいてほしいと思う」

「!」


俺の考えや迷いをあっさり蹴散らし
ただ自分が望むことを素直に伝えてくるマリ。

彼女が5年もの間後悔をしていたからこそ
そう素直でいてくれるのだろう。
俺のほうが妙に考えすぎていたってわけだ。



/ 126ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp