第7章 再会
かかしサイド 続き
そして俺の胸の中でマリは泣きながら言った。
「かかし、ごめんね…何も、聞かずに…私、何も、知らないくせに…わかろうとも、しなくて…後悔してて…でも、踏み、出せなくて、遅く、なって、…ごめん、ね」
「俺も悪かったよ。何も話そうとしなくて、勝手に決めて離れてしまって」
泣いている彼女の頭を優しくなでる。
彼女を胸の中に収めて、この5年感じることのなかった大きな安心感が俺の中に湧き、は~っと大きく幸せのため息が漏れた。
「でも正直会えるとも思ってなかったから…驚いた…」
そういうと
「驚いたのは、こっちだよ…!お面越しに、かかしが、かかしが…死んじゃ、ったの、見て…ここで…ずっと、うご、け、なくて…」
そういうことか…
これだけ泣きじゃくって真っ赤に目をすでに腫らしていたのはその場面を見たからか。
このお面…いったい…
正直俺もこれには驚いたが、転生術によって蘇れたことはたくさんの意味で感謝すべきだと思えた。
「俺はもう大丈夫だから…」
そういうと彼女は俺を見上げた。
ぶつかった視線から、なんとなく、もう少し近づいてみたい、そう感じたのは俺だけじゃなかった___
俺から目をそらさない彼女の瞳から、彼女も同じ気持ちだと感じた。
あえて言葉にしなくても、あの頃よりも大人になった俺達ならもっとわかり合える方法はある…
そう思いゆっくりと2人の距離が鼻先まで近づいたとき
「なんかマリ熱あるんじゃない?」
マリの足元にまとわりつくウルシが口をはさんだ。
ウルシ…
ちょっと今いいとこだったのに…
と思いながらも、彼女の状態を改めて確認する。
「…ほんとだ。そういえばなんか服も濡れてるし」
そういってマリをみると
さっきまでの雰囲気で赤くなっているのか、熱のせいなのかわからないけどポヤンとしている。
とりあえず俺は、少しクタリとしているマリを抱えて、ウルシと里へ戻った。