第1章 ビビりの迷子としゃべる犬
私は、自分の国を離れ、他国で生活していた。
急な予定外な出来事でもどってきた自分の国。
自分の国なのに、なぜか私は傍観者のように町ゆく人々を見つめ、なぜか、自分がみんなとは違う、まるで宇宙人のように感じてしまう。
みんなとは何かが違う。
居場所がない。
疎外感、孤独感、窮屈感。
それでも、生きていくためにはここで生活していかなければならなくて。
これまで一生懸命に積み上げたものは手元にはもう何もなくて、一からの出直し。
新しいスタートのはずなのに、なぜかここは自分の身が合っていないように感じて…
私はとりあえず実家にかえることにしたのだ。
実家は田舎町。
山と海がある場所。
キャップをかぶって、アレルギーあるからマスクして、Tシャツにレギンス、靴を履いて、ラフな格好でリュックを背負い、実家へ向かう。
家の後ろには山があって、昔そこでよく遊んだなって、懐かしく思って、そのまま山道を進んでみる。
ん…なんだろ、この感覚。
奥に進めば進むほど、自分に合うという感覚。
自分が求めている何かが、その奥にあるような感覚。
私の居場所?
それとも誰か?
何かが、きっとそこにある______
知っているはずのその山は、気が付けば、もう自分の知っている場所ではないことに気づいた。
雰囲気も、空気も、空も、何もかも違う場所。
そしてウルシにあったという流れだ。
少しだけ、違う場所に行きたいと望んだ自分が、結果的にその違う場所というとこに来てしまっているのだが、どうしていいかわからない。
とりあえず、熊とか、蛇とか、お化けとかやめてほしい。