• テキストサイズ

ここで君ともう一度

第6章 すれ違う心


マリサイド 続き

改めて繋がれた手を見つめ
その手から腕を、肩を、そして顔をみていく。

隣にいるのは年下の彼ではなく
私の眼にはぼんやりと
あの時隣にいたかかしがダブって見えた。


「着いたよ」


そう言われてハッと気づくと、開けた場所に私達はでていて、空を見上げれば雲一つない、ただ満月が夜空に明るく光り輝いていた。


綺麗…なんだけど…でも…


何かが腑に落ちない。


隣に誰かがいるにも関わらず、私の心はぽっかりと虚しさと寂しさだけがあった。
これだけ綺麗なものを見ているのにも関わらず
心は乾いていた。


こんな風に比べて、どうにかなるわけでもないのに…

そう思っても自分の心に嘘はつけなかった。

私はもうそれっきりその人とは会わなかった。





けど、あそこまでかかしの存在を感じても、私は何かを行動に移すことはできなかった。
お面越しにみた、あのかかしの姿がやっぱり邪魔をして
私の行動を止めてしまう。


「いつまでたっても恐がりなのは変わらないか…
意気地なし…」


そういって自分を咎めるしかできなかった。



結局あの日の後悔は
いつまでも心の片隅にしこりとして残っていて
夏が来るたびに心苦しくなった。


それでも
私はそれを見て見ぬふりをし続けた________


/ 126ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp