第6章 すれ違う心
マリサイド 続き
改めて繋がれた手を見つめ
その手から腕を、肩を、そして顔をみていく。
隣にいるのは年下の彼ではなく
私の眼にはぼんやりと
あの時隣にいたかかしがダブって見えた。
「着いたよ」
そう言われてハッと気づくと、開けた場所に私達はでていて、空を見上げれば雲一つない、ただ満月が夜空に明るく光り輝いていた。
綺麗…なんだけど…でも…
何かが腑に落ちない。
隣に誰かがいるにも関わらず、私の心はぽっかりと虚しさと寂しさだけがあった。
これだけ綺麗なものを見ているのにも関わらず
心は乾いていた。
こんな風に比べて、どうにかなるわけでもないのに…
そう思っても自分の心に嘘はつけなかった。
私はもうそれっきりその人とは会わなかった。
けど、あそこまでかかしの存在を感じても、私は何かを行動に移すことはできなかった。
お面越しにみた、あのかかしの姿がやっぱり邪魔をして
私の行動を止めてしまう。
「いつまでたっても恐がりなのは変わらないか…
意気地なし…」
そういって自分を咎めるしかできなかった。
結局あの日の後悔は
いつまでも心の片隅にしこりとして残っていて
夏が来るたびに心苦しくなった。
それでも
私はそれを見て見ぬふりをし続けた________