第6章 すれ違う心
かかしサイド
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あれから_____
何日も、何か月もたったのに未だに薄れないこのがっかりとした晴れない気持ち。
「かかし…」
俺の名前を呼んで近寄ってくる、この目の前にいるどうでもいい女の人。
同じ女の人でも、こうも違うのか。
この人がどれだけ色目を使っても
どんな言葉を並べても
俺の気持ちはやっぱり平たんで
俺の鼓動に、心に、感覚に何も響かない…
じゃあなんで俺はこうして
どうでもいい人の誘いにのってるんだろうか。
きっといつまでも忘れられないあの事を、どうにかして忘れたいと思っているから。
でも結局それは
マリのほうがいい、いやマリがいいといった結論にいつも結び付けられるだけだった。
「照れてるの?」
うつむく俺の顎を持ち上げてそいつが妖艶に笑って言う。
そのあとマスクに手をかけられた。
「触るな…」
それだけ冷たく言い残して、震えて固まるその女の人を残して俺は家を出た。
おそらく俺の眼には殺気もわずかながら混ざっていた。
最低だ____
わかってる
忘れようと利用しようとして、結局利用すらできず中途半端なことを繰り返していることも
「これ以上考えたって…仕方ないのに…」
俺は火影岩の高台の場所から、火の神様の場所の方角を眺めながらそうつぶやいた。