第6章 すれ違う心
かかしサイド
家に帰って服をぬぐ。
脱いだ服を投げつけ何か胸にある苛立ちと、むなしさに自分自身がコントロールできない感覚を覚える。
俺は
同じ感覚をもった彼女なら
自分を理解してもらえるのかもしれないと
どこかで期待していたのかもしれない。
いやただの期待だけじゃなかった_____
何年も深く眠れなかった俺を
あそこまで無防備にした彼女の存在
女の人に対して適当な思いと扱いしかしてこなかった自分が、ただの手を握ることだけですら緊張したあの感じ…
俺は間違いなく、マリの前で普通の男として存在していた
暗殺部隊の隊長でもなく
忍びでもなく
ただの普通の人間臭い男
そんな自分がとても新鮮に思えたし
俺にもこんな自分がいたんだと
麻痺なんかしてない
まともな人間部分があったんだと思えたのに…
なぜそうなったかはわからない。
でもあきらかにマリはもう一人の俺の部分をお面越しに見たのだろう
理解してほしいと思えた相手には理解してもらえない…
それが苦しい
あきらかに分かるのはマリと俺はきっと住む世界が違う。
この里に住むものなら、この世界のものなら忍びという存在がどういうものなのかわかっている。
少なくとも俺はここでは戦力として有力な存在、隊長として里をまもる存在として誰からも尊敬される
それが例え殺しをしてもだ____
彼女と会うことなんてきっともうないだろう
そうはっきり思えた。
だったら忘れるようにするだけだ…
そう思って寝ころんだ俺は目を閉じた______