第6章 すれ違う心
かかしサイド
数日の間、俺は晴れない心を抱え任務にあたっていた。
今日はちょうど休み。
やっぱりあの火の神様の所にいけばなにかわかるかもしれないと、足早にそこへ向かう。
木の葉の里から向かえば、マリとわかれた階段を俺は上っていかなければならない。
ドンドン上っていくにつれて空気がより冷たく、同じ里の空気とは思えない不思議な感覚を覚える。
もうすぐマリを見失った場所だと思った瞬間、突然マリの匂いがした。
そして目の前に傾いてくる彼女であろう姿が突然うつった。
受け止めた彼女は俺の狐のお面をつけていた。
俺のお面をやっぱり彼女がもっていたということは、彼女もここに俺を探しにきてくれていたんだと思い、少しだけ気持ちが舞い上がる。
でもなぜかマリの反応はまるで別人で…
「…このお面…なに?かかし、何してたの?血が…倒れた人が‥いっぱい…見えた…」
「!」
そう言ったマリの言葉と震える姿に
俺はいっきに現実に突き落とされた___
俺は暗部隊長。
暗殺戦術特殊部隊に所属し、火影直轄の重要な立場である。聞こえはいいが、里を守るために暗殺を含めた汚れ仕事を主にする立場。
失ったものは多く、また奪ってきたものも多い。
マリとは1回しか会ったことがなくて、お互いの素性もよく知らない。
一時の気の迷いのような感覚で
こんなとこまでやってきて…
ほら…結局彼女に今あるのは
俺に対しての恐怖心…
俺は…いったい彼女に何を期待したんだ?
「マリ、お前…俺といないほうがいい…」
この言葉がすべてだった。
それ以上でも以下でもない。
何も答えない彼女も同感なのだろう。
マリからゆっくり離れて、階段を下っていく。
振り向かない、絶対に…
俺はいつもどおりの生活に戻るんだ。
今までだって一人だった。
これからもそうだ。
何も変わらない。
渦巻く様々な感情を振り払うかのように
いつも以上のスピードで俺は里へ帰った。