第5章 火の神様の場所で
マリサイド 続き
目的地だった火の神様の場所に着いた。
そこは、自分が知っている場所そのものだった。
周りを少し歩いてみようと言うかかしは、暗いからと言って先に階段をゆっくり下りながら懐中電灯をつける。
私とかかしの手はあっけなくも簡単に離れてしまった
離れた手の平から
思った以上の冷たい空気を感じ
言いようのない不安を覚えた
と同時に、なぜかかかしと私の距離が瞬く間に離れていく。
「え?…」
空間がながれるようなものを見たのちに
気が付くと私は
いつもある実家の山道の途中で倒れていた。
「!??」
起き上がって見渡す場所は、ちゃんと見覚えのある昔遊んでいた山道で、ここを少しくだっていけばちゃんと実家がある…
まってよ
じゃあ今のって
夢_____?
ううん、この手に握っていたもの…
かかしのぬくもり
あれは夢なんかじゃなかった
ちゃんと彼はそこにいて
私もとなりにいて、ちゃんと2人だった
何これ…
そう思っていると朝日がまぶしく自分を照らす。
「朝…?かかし‥どこ?」
安心感は単なる不安へと移行し
また孤独へと引き寄せられてしまった
私は走った
火の神様の場所へ行けばなにかわかるかも
とにかくひたすら走った