第4章 マリとかかし
かかしサイド 続き
普通に感じた思いを伝えてきたその言葉は、なぜか俺の心にグッときた。
俺は彼女のことをよく知らない。
もちろんマリも同じだ。
だが彼女も俺も孤独を感じていた。
それは紛れもない事実。
今はたとえこの世界に誰もいなくても
俺とマリ、2人こうして共にいて同じものを共有している。
1人じゃない…
マリとは初対面だけど、これまでの流れからも決してどーでもいいと思うような相手ではないと俺の心のざわめきが証明している。
そう改めて思えたとき
マリが言ったように
夜空が、月が、夜風が、目に見えている当たり前のものが
なぜだかさっきよりもきれいに
そして鮮明に敏感に感じる。
お面越しに見るマリは、さっき見た儚い姿ではなく
なんだかキラキラしているようにみえた。
そして、俺の視線を感じてこっちをゆっくり見つめる___
お面1枚の壁が
俺の中にある湧き出た何かの存在を邪魔する。
なんなのか…
マリはまた笑ってくれた。
「なんか、かかしとは初対面なのに…すごく安心感あるな…なんでだろ」
そのまま寝ころんで月を見ながらマリは言う。
俺は安心感も含めて、いままで感じたことのない感情に振り回されていて若干自分自身についていけていない。
冷血だと言われている自分が
やたらと人間くさいと感じる。
今だって
何かが、また何か違う感情が生まれそうだ。
なぜこうも彼女には乱されるのか。
とまどう自分を落ち着かせるために、髪の毛をワシャワシャと掻く。
そしてその手をまた戻した時
ほんの少しマリの指先に触れた____