第4章 マリとかかし
かかしサイド 続き
触れたままの指先を露骨に振り払うことが
なぜかできず、そのままにする…
俺は…
なぜかこの手に…何かを求めている。
そう半信半疑の思いを胸に
マリの手を____ゆっくりと握りしめた____
そのまま彼女のほうへ視線を向けていく。
マリはすでに俺のほうを向いていて
その顔は、照れ臭そうに顔を赤らめていた。
「ふふっ。かかしの手、あったかい」
マリは俺と繋がった手を見つめてハニかんで言った。
俺たちの手は
ほんの少し遠慮と緊張が入り混じった感覚がありつつも繋がっていた。
俺自身もその手を見つめる。
マリの言葉が素直にうれしく感じた
と同時に、これはなんだろう…俺はとまどってるのか?
決して今まで女の人と関わったことがないというわけではない。
どちらかというと不自由はしたことない。
適当でよかった。
どうでもよかった。
向き合わなかった。
そんな最低な言葉がいくらでも並びそうな関係しかもってない。
なぜならそれは一番に俺は暗部だから。
いつ死んでもおかしくない。
いやいつ死んでもいいと思っていると言ったほうが合っているか。
マリとの距離は、決して一気に詰まるわけではなく
1歩1歩、ほんの少しずつ
自分の心と一緒に距離が縮められている感覚_____
無言であれこれと考えていることは、お面のせいでマリには悟られていないだろう。
でも、俺の手はさっきよりも彼女の手をしっかりと握りしめている。
それは彼女にも俺がそうしたいという気持ちは伝わっているだろう。
マリはひとしきり空を眺めたあと、俺をしばらく見つめて
「かかし、いこっか。手は、このままで‥いい…?」
って、遠慮がちに聞いてきた。
「うん…」
お面をしていてよかったと、その時俺は切実に思った。
いったい自分でもどんな顔をしていたのか
もはや検討もつかない。