第4章 マリとかかし
かかしサイド 続き
そう思っているうちに彼女がズルズルと崩れていき、なぜか俺が膝枕をしている状態になってしまった。
…これはいろんな意味でまずい…
そう思ったけど、やっぱり彼女の気持ちよさそうな寝顔と寝息を聞いていると起こしたくないと思う。
まいったね…
お面も長時間してると若干息苦しくもなるから外したい気持ちも湧いてくる。
けど今なら彼女は俺のことを見ることはない。
いや、不意に見られたとしても…
そう思ったら、少しだけの間…
と思いお面に手をかける。
あ…彼女が動く。
お面をはずそうとする手が不意に止まる。
あれ、俺、今この子にならいいと思ったんだろうか。
この身元も素性もあんまりはっきりしない子に?
仮に素顔を見られたって、自分を少しさらけだしてもいいって?
いつなんどきでも気を抜かない自分に対して、数秒前に行った己の行動と考えに思った以上に驚く。
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今度は膝枕状態になったマリを、なんとなく撫でてみる。
頭とか、肩とか…ちょっとだけほっぺとか。
初対面で普通こうなるか?
マリ、仮にも俺とお前は初対面で男と女でしょ?
あまりに無防備すぎる。
でも…俺もおれでなんかおかしい。
「はぁ…何やってんだか…」
嘆く心とは裏腹に、マリと過ごすこの空気はどこか、悪くない…とも思ってる_____