第3章 お面1枚分の壁
狐のお面の人サイド 続き
「なに?マリは、俺との距離をゼロにしたいの?」
若干痛いとこをつかれた俺は、ちょっとだけいたずらに聞いてみる。
「ううん」
ん?あっさり否定された?
「かかしが、私との距離をゼロにしたいと思って、自らその壁を取ってくれなきゃ意味ないじゃない。私からは無理やり取れないよ」
そう言って逆に笑われた。
なんか…なんかこの子と話していると、思ってもないことを言われたり気づかされたり、ちょっと心がソワソワする、不思議な感覚…
「そっか…」
いたずらに言った自分の、唯一返せた言葉がそれだけだった。
ウルシを見てみると、だんだん飽きてきたのか眠そうにしている。
「ウルシ、もういいよ。俺が付き添っていくし。お疲れさん」
「ん、わかった。疲れたし帰る。じゃあな、かかし、マリ」
そういってポンっと消えた。
マリが驚いて叫んだのは言うまでもない。