第20章 帰還
マリサイド 続き
うれしさとともに同時にこみ上げたのが不安だった。
「ね…かかし…それって、それって‥‥」
「それって?」
「かかしの子‥‥だよね?」
「え!!?まさかやっぱりトネリとそんなこと「してない!してない!!誓ってしてない!」
「ちょ、やめてよほんと脅かすの!」
「だって、だってあんまり忍びのこと詳しくないし、キスとか血を交わすとかで変な特殊能力とかで妊娠させれるとかって‥‥」
そこまで話してる途中でトネリが言ったほんの何気ない言葉を思い出した。
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『…僕はもう転生眼を開眼できたし…僕を裏切るっていうならもう用済みだよ。それに…あぁなんだ…そういうこと…君ってもう‥‥』
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「!」
そうか…彼はあの時転生眼で私の中を見て妊娠していることを知ったんだ。
それをわかった途端、彼はさらに私の首を強くしめたもんね…トネリは1人だったから、誰かと結婚して家族を作りたいと言っていたのはきっと本心だったんだ。
寂しかったんだろうな…
「どうしたの?」
「トネリは…きっと私がかかしの子を妊娠してるの途中から気づいてた。だから…あの時、よけい憎かったんだろうな私の事…」
彼の人生もまた切ない…
そう思いうつむいていると、かかしに抱きしめられた。
「マリ、俺と結婚してくれる?ちゃんと俺の奥さんになって、マリと生まれてくる子、ちゃんと俺に守らせてよ」
「ほんとに!?‥‥あ、でもかかしはトネリとキスしたの怒ってない?それに、私カグヤ?のへんな術が発動しちゃって、これからも何が起こるか…わかんないよ?」
そういうと
「ま、怒ってないっていうと嘘になるけど、そんなこと言ってる場合じゃないじゃない。それに、マリがこの世界に残っていろんなことに覚悟を決めていくって決めたときに、俺も同じように覚悟決めてる。だから、ずっと一緒でしょ?」
見上げたかかしは、いつもどおり優しく笑ってくれていた。
「…うん…」
「ほら、泣かないの。ちゃんと返事聞かせて?俺の奥さんになって、ずっとずっと一緒にいてくれる?」
「うん!お願いします!」
笑って思いっきり抱きしめた。