第19章 転生眼
マリサイド 続き
ナルトくんの言葉とトネリを見つめる視線は、まっすぐで曇りないものだった。
転生眼を開いた彼なら、心の眼で感じるよりももっと大きくぶつかったに違いない。
私達の周りには、シカマルくん、ヒナタちゃん、サクラちゃんに支えられてサイくんも集まってきていた。
「簡単じゃない…もうそんな世界を言い伝えどおりに見守るのも疲れたんだよ。だったら無にきすだけだ…」
「その気持ちもわかるけど、こんなやり方だってまた憎しみを生むだけだろ?俺達はただマリのねーちゃんを奪還してお前と戦闘をしに来たわけじゃない。俺達の思いも聞いてほしいから来てるんだってばよ」
静かな沈黙の中、風だけがふいた。
「トネリ。お願い。もうやめよ?その転生眼で見るものはきっと他にあるはずだよ。その綺麗な眼にうつすのは、醜い世界じゃない。みんなわかってるよ、それを作り上げるのも簡単じゃないことも。でもそれでも少しづつ積み上げて築きあげていこうとしてるんだよ。もう1回信じて見守ってくれない?今度は心の眼じゃなくて、その転生眼で」
トネリは、少し黙ったあとため息をついて言った。
「‥…2度目は‥‥ないからね…それに僕が手を引くのは君たちに負けたわけじゃない。マリがカグヤの力をコントロールしてしまえば勝算はないとみたからだ…あとそのマリからのお願いだから、仕方なく…だからね」
「あぁ。それでいい。俺達がこれからの道筋を引っ張っていく。ちゃんと見ててくれってばよ」
ようやく私達の間に安堵のため息が漏れた。