第19章 転生眼
マリサイド 続き
「じゃ、さっそく始めようか」
そう言われて私もうなずいた。
トネリはなにかわからない言葉を使って
いくつもの印を結んだ。
そのままその儀式のようなものが1、2分続くと、トネリの体をめがけて蓄えられた光のエネルギーが彼の体に吸い込まれはじめた。
私はあっけにとられながらも彼の体に吸い込まれていく光をただ茫然と立ち尽くし眺めていた。
そして_____
すべての光が吸い込まれたあと、部屋は一気に暗くなり、窓から差し込む外の満月の光だけとなる。
なんとも妖艶な雰囲気のなか
トネリは私にゆっくり近寄ってきた。
「マリ、親指をだして」
そういわれて、何をするんだろう…そう思ったのもつかの間親指の腹を深くぱっくりと切られてしまった。
「いっ…た…」
何するんだという間もなく、トネリは同じように自身の親指の腹を同じように切った。
互いの手には、親指からタラタラと鮮血が流れる。
この血が、災いをもたらしているのか…
大筒木の血…これのせいでこんな運命を背負わされている。少し憎く思えた。
でも私が大筒木じゃなかったら、かかしにも木の葉のみんなにも会えず、この世界にもこれなかった。
ぼんやりとそんなことを考えながら自分の血を見つめていると、トネリはいった。
「マリ、この血を舐めてしっかりと自分の舌につけるんだ。そのあとは、キスするだけ。簡単だよね?」
「‥‥わかった…」
そうして私とトネリは互いに親指から流れる血を自身の舌に刻んだ。
そのままトネリが私の顎をもって近づいてくる。
あぁかかし以外の人とキスしてしまうのか…
かかし怒るだろうな…ヤキモチすぐやくし。
いや、もう私のことなんかあきれて嫌いになっちゃうかな…ごめんね。
何回謝っても足りないや。
ごめん…かかし…
唇ではなく互いの血の印がつけられた舌が最初に重なりあった。
と、そのあと互いの体にその血を取り込むように舌をからめ、深く何度も角度を変えて唇を重ね合った。
頭にあったのは、かかしへの罪悪感だけ。
いくつもこぼれる涙の数だけ心の中で謝り続けた____