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水平線に消えゆく[進撃の巨人/リヴァイ]

第2章 :神業と出立と霹靂(そんな程度の女)


(どうして可怪しいんだっけ)
 はっきりしない頭をつついていたら小学校のころの理科の先生を思い出した。ひょろりとした長身で、渦巻き眼鏡をかけていた先生の授業を掘り起こす。
「人間は自分たちで生産できるから、あまり食物連鎖は関係ないんですが。巨人って人間以外で何か食べますか? 畑を耕して自給自足してるとか」

 間抜けな発言だったのか、ハンジは飲みかけの酒を吹いて笑う。
「畑を耕す巨人か。想像するとなんて可愛いんだろ」片目を細めて、ちっちっと口許で人差し指を振る。「でも残念だね、。巨人は人間以外捕食しない。何も食べなくても生きていける生き物なんだ」
 それだと可怪しいのである。自然の摂理に反している彼らは一体どこからエネルギーを得ているのか。

「あとね、。分からないのがもう一個あったんだ。いれんし」
 扉のノックでハンジが訊きたいことは遮られた。扉の外から男の声が呼ぶ。
「ハンジ分隊長、お迎えにあがりました。まもなく早朝会議の時間です」
「何てことだ、有意義な時間は過ぎるのが早い」
 悔しそうな顔をして、ハンジはソファに掛けてあるジャケットを羽織った。
「え! もう朝!?」
 は仰天するのだった。――窓の外の明るさに。

 こんなことがあったが、
「いまいち何を喋ったんだかあやふやだわ」
 はっきりとは思い出せないだった。酒を飲み過ぎたことが原因だと思われた。

11

 午前中に睡眠を取れたおかげでの二日酔いは改善した。しかし徹夜が祟り、ピークだった疲労がとうとう限界を迎えてしまった。
 杖が欲しいと思った。全身筋肉痛で少し歩いただけで鋭い痛みが走る。老婆のように身を丸めて、リヴァイが待つ訓練場にやっと着くことができた。

「お待たせしました」
「遅い、十分の遅刻だ」
 十分くらい大目に見てくれてもいいではないか。「時間通りに着くよう計算して部屋を出たんですが、なにぶん、こんなんでして」
 筋肉痛がひどくて肩も脚も上がらないのだとはアピールした。

「五十肩か。相当若作りしてたんだな」
「そんな歳いってないです。二十三肩ですよ」
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