第8章 幾望
嬉しくなって、体中キスした。
胸板にキスして、お腹にキスして。
うなじにキスして、背中にキスして。
腰のくびれにもキスしたら、もっと気持ちいい声が聴こえた。
後ろから抱きしめて、すでに形を変えて主張してるそこに手を伸ばした。
「あっ…翔、だめ…」
「なんで…?」
「出るから…もう…」
泣きそうな声で言うから、嬉しかった。
「出して…」
「やだ…」
「見たい…」
「だめ…」
くるりと腕の中で向きを変えて、俺をまっすぐ見た。
「…一緒に気持ちよくなりたい…」
潤んだ目で見つめられて、理性がぶっとびそうになった。
なんとか堪えて、智の手を掴んだ。
「え…?」
「じゃあ、触って」
自分にその手を押し付けると、智の顔が一瞬で真っ赤になった。
薄ぼんやりとした闇の中でもわかるほど赤くなって。
嬉しくなって顔中にキスして、俺も智のを握った。
「ひゃっ…」
「ほら…手、動かして…」
ゆるく握ってただけの手に力が入った。
俺も智のを掴み直した。
先走って出たのが、ぬるりと掌を濡らしている。
「っ…」
ぬるりとした液体を塗り拡げるように、ゆっくりと手を動かし始めたら、智の身体がビクリと反応して。
智の手は俺のを掴んだままだ。