第7章 繊月
Side S
「いでででで…」
「じっとして。消毒できないじゃん」
縫ってもらったとき病院でもらってたイソジンの消毒薬で、グリグリと傷口を消毒された。
「もっと、優しくして…」
「お腹いたいからって甘やかさないよ?傷口化膿して困るの翔ちゃんだからね?」
「ぐう…」
あれから…
疲れ切ってたのか、爆睡してしまって。
相葉先生が昼前に家に来るまで、寝てた。
朝から着信が山ほどあったが、スマホをリビングに置いたままだったから気づかなかった。
なぜか腹が痛くて、なんにもできなくて。
呆れた顔の相葉先生に家事をしてもらってたら、笹野先生までいらして、バタバタしてた。
「ちょっと…抗生剤もちゃんと飲んでないじゃん!」
消毒が終わって、病院からもらった薬の袋を見つけて、中を見た相葉先生に怒られた。
「あああ…忘れてた…」
「ちょっと…しっかりしてよね…」
「ううう…」
腹がシクシクと痛いのも相まって、非常に情けない気分になって、ソファに突っ伏した。
「もお…大野くんが見つかったから、終わりじゃないんだからね?大事なのはこれからなんだよ?翔ちゃん」
「わぁーってる…」
「なんでこんな大事なときに腹壊してんのよ…」
俺が聞きたいわ…
なんでやねん…俺…
「どーせなんも食べてないんでしょ?」
「あい…」
「じゃあ大野くんのためにも、消化にいいもの作ってあげるから…」
「でも材料…」
「買ってきた!」