第1章 狐月
side O
予鈴が鳴ってる
まだ俺は、校門にすら到達していなくて。
「あー…」
道理で…さっきから周りを歩いてた奴らが走っていったわけだ。
誰も居なくなった道
それでも…
引きずるように歩いていた足を止めた。
「もう…いいや…」
めんどくさくなって。
どうせ、校門には教師が仁王立ちして。
遅刻した俺をネチネチと責め立てるんだろう。
なんで起きれないんだとか、なんとか。
めんどくさい…
来た道を引き返そうと、踵を返した。
校門から続く、学校の塀に沿った道を引き返す。
もう生徒はいなくて。
人も誰も歩いていない。
予鈴が鳴り終わると、辺りはシンとした。
学校の建物も、人が居ないみたいに静まり返ってた。
誰も…いない
この世界には…
俺の住む世界には、誰もいない
「ふ…」
そんなことを考えてる自分がおかしくなる。
今更…
人はひとりで、俺はひとりで…
そんなこと、わかってるはずなのに。
寂しいなんて、思ったら負けだ。
そんなのは、女子に任せておけばいい。
俺は男で…
だから…
強くなきゃ…いけないんだ
「おいっ…」
遠くから、声が聞こえた。