第4章 雨月
真っ直ぐに俺を見上げてくる目は真剣だった。
「友達として…俺、あいつの素直なとこすごく好きだし、あいつの描く絵もすごいなって思うし…だから、あいつの力になりたいんだ」
それだけいうと、少し顔を赤くして、ぷいっとまた窓の外を見た。
…いっちょまえに照れていやがる…
「…わかった…」
そう言ってやったら、仁科は目を丸くして俺を見た。
「いいの!?」
「わかった。わかった…」
「ほんとに!?」
「ただし…他の生徒には絶対に言わないこと。あと、先生にも…」
「了解!」
「正直、大野の父親も大野が行きそうなところがわからなくて、どうしようかと思っていたんだ…」
ちらっと相葉先生の顔を見たら、くすっとまた笑われた。
「いいよ…俺も、黙っとく。それから、探すお手伝いもするよ?」
「えっ…本当ですか?」
「いいよいいよ…どうせ週末は暇ぶっこいてるし、大事なうちの学校の生徒のことだもんねぇ…協力する」
生徒は商品だって言ってたじゃねえか…
そう思ってたのが、顔に出ていたらしく。
相葉先生はいたずらっ子みたいに笑った。
「俺は、素直な子は好きなんだよっ」
「はあ…」
「だから、櫻井先生と大野くんに巻き込まれてやりますよっと」
「巻き込まれるって…」
「はいはい。なんだって良いでしょ。じゃあ、カズヤ、どんなとこに大野くんが居ると思う?」
「あー…そうだなあ…」
それから、3人で作戦会議が始まった。