第4章 雨月
…手ぇ出すって…
俺、男なんだけど。
でもさ、世の中にはゲイとかホモって呼ばれる人が居て…
現にカズヤだって、恋人は大人の男の人で。
そういうことに偏見はなかったけど、男同士ってどうやってスるんだ?
ケツの穴…使うんだよな?
詳しいことは知らないけど、そうなんだよな?
アナルセックスって言葉があるくらいだし…
中学の時…
付き合ってた女の子とセックスはしたけど。
そんときは必死で、気持ちよかったけどそれ以上のことをやろうとか、やりたいって気持ちにはならなかった。
母さんが酒を飲みすぎるようになってからは、そういうことからも遠ざかってて。
「さぁとし~…」
「はっ…はい?」
「むふ…お前、抱き心地ほんとにいいなぁ…」
「え…あ…ああ…」
いつ起きてたのか、和也さんが急に喋りだしてビビった。
「…いつまでだって、ここ、居ていいからなぁ…」
「え…?」
「親なんかぁ…20歳になっちまったらぁ…関係ねーからなぁ…?」
「…はい…」
「お前、もうちょっと我慢すれば18歳じゃん…?」
「はい…」
「家、出ちゃえ」
「はい…」
「家出てさぁ…世界中、歩き回れよ」
「え…?」
「…どんだけ、自分がちっぽけか…どんだけ自分が馬鹿なのか…よーくわかるよ…」
それだけ言うと、和也さんはまた寝息を立て始めた。
それって…
和也さんが思ったことだったのかなって…
抱き枕しながら、考えた。