第4章 雨月
夜になると、だんだん人が集まってきて。
香水の匂いをさせた男の人や女の人…
ハイブランドの服を着て、酒を飲んだり持ってきたご飯食べたり…
みんな大学行ってる人みたいなんだけど、中には俺や松本と同じ年くらいの人も混じってて。
私服だからよくわからなかったけど…
平日だから集まり悪いって、和也さんは言うけど…
10人くらいの室内は、人の熱気とタバコと酒の匂いで、ちょっと酔いそうだった。
和也さんが俺と松本の分もご飯を母屋から取り寄せてくれて。
あんまり食欲がなかったんだけど、これもまた高そうなご飯だったから全部食べた。
「ぐえっぷ…」
「ちょ、大野きたねーな…」
松本に隣で爆笑されて、ちょっと恥ずかしくて横を向いたら、和也さんがすっごい笑ってて。
「さっ…智のゲップ、すげえデカイ…」
「ご…ごめんなさい」
そう謝ると、ツボだったらしく、しばらく泣きながら笑ってた。
「やーだ、この子可愛いじゃん…」
向かいに座ってたお姉さんが、俺のこと見てる。
「あっ、だめだからね!大野は俺のだから!」
って、松本がふざけて抱きついてきた。
「えっ…そういうのなの?智くんと潤くんって」
「えっ…ちょ、まつも…」
「そーなの!大野は俺専用だからねっ!」
「まつも…」
俺のことどうしたいんだ松本…
「えー、でも潤くんってさあ…」
「あっ…そうだよ!俺、どっちもイケんの!」
そう言うと、みんな爆笑して…
「潤ほど女好きみたことねーのに…まさか両方とか…」
「そうだよなあ、この前だって和也の寝室シケ込んで…」
「あっ…まじそれ!言わないでっ…」
「あ?潤!てめえ、勝手に寝室使ったのかよ!?」
「ご、ごめんなさあいっ…」
ずっと…
家でこんな風に過ごす時間がなかったから…
楽しくて…
どうしていいか、わからなかった