第1章 狐月
仁科…カズヤによると、俺は黙ってても目立つらしい。
「自覚ないわけ?整った顔して、運動もよくできる。余計なこと言わないけど、なんかあったらボソッと言う言葉がみんなに影響与える…」
「はあ?なにそれ」
「だからみんな一目置いてるのに…」
コイツ…学校来たり来なかったりなのに、よく人のこと見てんな…
「整った顔ってのは認める」
「ぶぶぶぶぶっ…」
「でも一目なんか置いてねーだろ」
「…じゃあ、ビビってんだ…?」
「ビビってなんかないだろ?」
仁科だって、気軽に声掛けてきてんじゃん…
「…だって、たまに大野、すごく怖い顔する…」
そう言って、眠そうにあくびをした。
「そんな顔したって…誰も構ってくれないよ…?」
「は……?」
そう言って、カズヤはまた腕に顔を埋めた。
「俺が構ってチャンだとでも言うのか」
「そうじゃないよ…」
くすくす笑ってるのが聞こえる。
「寂しいのなら、寂しいって言わないと、誰にもわかんないってこと」
思わず立ち上がってカズヤの腕を掴んだ。
「…誰がそんなこと言った…」
「別に…見てりゃわかるよ」
「は…?」
「智、俺と同じ匂いがするもん」