第18章 終わらない今が苦しい
「ではしばらく別行動だ。此方側は頼むよ、愛美」
「はい」
「…愛美」
触れるだけのキスを落とされる。そこには優しさしかなくて。
「藍染隊長、ほんまズルい人や」
一瞬で目の前から消えたその人。素直に憎まれるだけの存在であってくれと、切に願う。本当に、ズルい人だ。
「……ほな、行こか」
恐らく、藍染隊長の偽りの死体を見て、みんなが驚いているはずだから。
「何やの?朝っぱらから騒々しい」
泣き叫ぶ五番副隊長サンの姿に、相変わらず藍染隊長のエゲツなさを思い知る。いずれ切って捨てるくせに、ここまで懐かせるとは。(イヅルを、どうしたもんやろか)藍染隊長はあの子をその手で葬る気だ。ならば、私は。私を慕ってくれているイヅルを、どこでどう、突き放そうか。藍染隊長の計画には、イヅルを利用することも含まれている。だから、イヅルには最低限動いてもらわなければならない。イヅルには酷なことをしてしまうけれど、心の底から私を憎んでほしいと思う。
「あらァ、これは一大事やね」
にこり。言葉とは裏腹に笑ってみせる。誰がどう見たって、怪しいであろう私。五番副隊長サンは、雛森チャンは、さて私に斬りかかってくるだろうか。
「い、…ちま、る、隊長?」
「えらい事になってもうたね。はよ藍染隊長あそこから降ろしてやらんでええの?」
彼女の脳裏に、いま何が浮かんでいるのだろう。信じられないという顔をして、私を凝視する。…まだ迷っているらしい。棄てる前は、随分とこの子も私に懐いてくれていたものだ。だからだろうか、恐らく彼女の中では私が藍染隊長を殺したのではという疑念があるだろうに、私からの否定を望んでいる。---それを、打ち砕いてやらねばならない。
「さっき会うた時はまだ元気でしたのに。一体誰が、藍染隊長こないにしたんやろね?」
悪意を持って、煽る。
「…っお前かぁ!?」