第16章 終焉の汽笛
一番隊へと繋がる長い長い廊下を歩きながら、先程の派手な橙髪の少年を思い出す。あれが黒崎一護クンかあ…。藍染隊長の手の平で踊らされている、可哀相なほどに真っ直ぐな旅禍の子。
(……ルキアちゃんの為だけにこんな無謀な喧嘩を吹っ掛けてくるなんてさ………本当、眩しいくらいに真っ直ぐな子。…ルキアちゃんと言えば、)
六番隊長サンは、大丈夫なのだろうか。そんなことを考えて、自嘲する。私に彼を心配する資格はない。彼を苦しめている原因、その原因は私や藍染隊長だ。だというのに、本心であろうが口先だけであろうが、私が彼を心配するなぞ馬鹿馬鹿しいにも程がある。
「…迷ってはったなァ」
旅禍の少年、黒崎一護クンの所へ赴く前。藍染隊長とのシナリオ確認を済ませた私が廊下を歩いていると、何の偶然か十一番隊長サンに会い、軽口を叩きながら一緒に歩いていた。突然ピリピリとした空気を感じ十一番隊長サンと一緒に赴いてみると、そこには機嫌の悪そうな六番隊長サン。十中八九、たった今ルキアちゃんに刑の日取りを伝えたのだろうと思い、火に油を注ぐと分かっていながら声を掛けた。
「随分冷静やったなァ六番隊長サン。御立派御立派!」
振り向いた彼の目には、苛立ちと嫌悪しか映っていなくて。当然だ。…ずくりと痛んだ胸、それをごまかすように笑みを深めた。
「自分の妹サンが死ぬいうんにあの冷静さ。流石やねぇ六番隊長サン、死神の鑑!」
「馬鹿言え。死神で死ぬだの何だのにビビってんのはテメーと九番隊長ぐれえのモンだ」
「えー、そうなん?」
手摺りに座り、ぷらぷらとぶら下げた足を揺らす。死神の鑑という言葉が、今の彼に重く伸し掛かるものだと分かっていて使った自分の性格の悪さにほとほと呆れる。でも、計画のためには、彼に救出側に回られては困る。彼には旅禍の少年と闘ってもらわなければならないのだと、藍染隊長が言っていたから。
「……隊長格が副官も連れず私に何の用だ」
―――怒っている。
「あらら、偉い言われ様やね。妹サンが処刑されはるらしいって聞いて、六番隊長サンが落ち込んでへんか心配して来たんよ?」
「ヘコむ訳ゃねえよなァ! 名門にゃ罪人の血は邪魔なんだからよ」