第8章 隠秘慰撫(R18)
「答えは出た、な」
脇息にもたれ高座から信長が瑠璃を見下ろす。
(最初から私の出す答えなんて、
予測済みだったんだろうな)
自嘲気味の笑を浮かべた瑠璃に、
信長が続きを促す。
「聞かせろ」
「……」
瑠璃は間を置いて、畏敬を込めた硬い声で答える。
「…これも、乗り掛かった船、手伝わせていただきます」
と。
それでも、仕方ない と言う言葉は忘れない。
ニヤッと信長が満足げに笑う。
ついででも、諦めでも、信長には関係ない。
結果が全てなのだ。
信長の側に控えている光秀は何も言わない。
瑠璃の出した答えに、
喜びも、心配も、不安も、嫌そうにだってしない。
ただこそに存在しているだけだった。
けれど、瑠璃には光秀が何かを隠忍しているように感じた。
※隠忍…いんにん/本心を秘めて堪え忍ぶ。