第53章 生還
山の中腹から山頂まで続く城壁が見えた。
「政宗さん、もうすぐですね」
「ああ…」
政宗らしからぬ緊張した声。
(佐助は瑠璃が生きていると言った。
コイツは嘘をつく様な奴ではない。
だから信じてはいる)
けれど、
何故か、緊張する。
「政宗さん、瑠璃さん、もう元気になっていると思いますよ」
気遣ってくれたのかそう言った佐助が真顔で笑った、ようだった。
「何でだろうな、あれ程、会いたいと思っていたのに…いざ、会うとなると怖く思うなんて」
(らしくねぇな…)
政宗が苦笑する。
「政宗さんが普通の人に見えます」
「佐助、お前は、俺を何だと思ってたんだよ」
「闘いの鬼、ですかね」
「そりゃ、お前んとこの主人だろ。あんなのと一緒にすんな」
「悪い鬼じゃないんですが…瑠璃さんは今その鬼に匿われてるので、早く助けに行きましょう」
「佐助、お前………そーだなっ」
政宗が前を向いた。