第51章 独りの行方
「……瑠璃…」
「政宗を助けたいの…その為なら、私は…どうなっても…いいっ…」
ハラハラと泣きながらも強く強く謙信を見上げる瑠璃。
その濡れた銀鼠色の瞳に謙信は何を見たのか…
「何故泣く」
謙信は同じ問いを繰り返す。
「その感情はなんだ」
「悔しい…悔しい…私には、やっぱり、
何の価値もない……
悔しいやあらへんの…」
布団を握り締め、唇を食いしばる瑠璃の肩が震えている。
(人形みたいに生きてた私に…)
「政宗が…生きる私の価値を…与へて、くれたのに…政宗が、私の、居場所をくれた…のに……」
激しく心が叫んだ。
「この身体…この命を差し出しても、
助けられへんなんて…私は……ゥッゥ…
悔しいっ、何で、なんも出来へんのっ⁉︎」
初めて瑠璃は政宗以外の人の前で我を忘れたように腹の底からの声を出し、涙した。
痛みも忘れて。
(悔しい…と言うのか…)
腹の底に渦巻くもどかしく、悔しい想い。